はじめての自作エフェクターでHARD DIST / ディストーションを作ってみた
こんにちは。
今回は「はじめての自作エフェクターでHARD DIST / ディストーションを作ってみた」について書きたいと思います。
前回、自作エフェクターで「POWER FUZZ(ファズ)」を製作した記事を書きましたが、自作エフェクター第2弾のご紹介になります。
「POWER FUZZ」と同じ書籍、秋間経夫の「初めてのオリジナル・エフェクター&ミニ・アンプ製作」の中から「HARD DIST(ディストーション)」の製作した時のことを書きたいと思います。
振り返ることになりますが、2015年くらいに自分の中でエフェクターを作ってみたいなという衝動があり、勢いで製作やモディファイ(改造)、歪みの研究に励んだ時期がありました。丁度、このエフェクターノートのブログをまだ始めたばかりの頃で、今頃(2017年)になって記事を書いております。タイムラグがありますが、ご了承頂ければと思います。
【HARD DIST(ディストーション)について】
「HARD DIST」は、本によると「非常に使いやすいきれいな歪み系エフェクター」と書かれています。特徴としては、「シリコンダイオード」ではなく「ゲルマニウムダイオード(1N60)」
を使用し、暖かみのある音色がでるディストーションペダルになります。シンプルにDRIVE(歪み)、LEVEL(出力)のツマミのみの構成になります。
【HARD DISTの回路図と基盤図について】
回路については、全くの素人なので回路図を見てもさっぱりわかりません。何のパーツかはわかりますが、どこがどう繋がっているか理解するのに時間はかかりそうです。(色々試したパーツや値が付箋で貼ってあり苦戦したことを物語ってます)
基盤図はパーツが割と少なめで、初めての自作エフェクターでディストーションを作るには入りやすいと思います。
【HARD DISTの製作期間と音が出るまで】
製作期間は1〜2週間くらいで、一通り製作した記憶がありますが、自作エフェクターで当たり前とも言える「音が出ない」というトラブルに遭遇してしまい、結果的には1ヶ月ぐらいかかりました。完成したはいいけれど、音が出なかったらなんの意味もないのがエフェクター。音が出なかった時の挫折感は強烈なのを覚えています。もう一度、パーツや回路、配線をイチから見直し、基盤を新たに作り直し、再トライ。完成に至りました。(つい嬉しさのあまり裏ブタに落書きと製作日を書いてあります)
【HARD DISTのセッティングについて】
GAIN(歪み)=MAX10でハイゲインになります。8あたりでは少し強いオーバードライブですが、9あたりから急激に歪みます。自作なので可変がデタラメですが、クランチ1〜6、オーバードライブ7〜8、ディストーション9〜10で、GAINの変化は極端ですが、MAXにすればギターボリュームには反応します。キレイなクリーントーンになります。
LEVEL(出力)=11時くらいがアンプと同じ出力レベルです。かなり出力は大きめ(に改造しました)です。
【HARD DISTを試行錯誤してモディファイ(改造)する】
音が初めて出た時は、すごく感動しましたが、問題点がありました。歪みは他と比べものにならないくらいキレイでしたが、LEVEL(出力)をMAXにしても、 音が蚊のように小音過ぎる点でした。
その時、既存ペダルのモディファイの研究や実験もしていたので、BOSS「DS1」Keeley.Modを応用して、「HARD DIST」をモディファイしてみました。
【モディファイ部分①シリコンダイオードとフィルムコンデンサー交換】
まず、「HARD DIST」の「ゲルマニウムダイオード(1N60)」の一方のダイオードを「シリコンダイオード」
に交換し、出力を上げることができました。「シリコンダイオード」にすると出力が上がるようです。次に、低音がもう少し出したかったので、音域に関連する「フィルムコンデンサー」
の値を上げて、交換しました。結果、歪みもやや荒々しくなりましたが、弾きごたえあるサウンドになりました。
【モディファイ部分②ミニスイッチの増設】
さらに出力を上げるため、ミニスイッチに LEDダイオードを設置しました。これは、BOSS「DS1」Keeley.Modの方法を取り入れました。
↑上がっていると通常の状態。
「ゲルマニウムダイオード」と「シリコンダイオード」の組み合わせになります。
↑下げるとダイオードが「シリコンダイオード」と「LEDダイオード」の組み合わせに切り変わり、出力がさらに上がります。出力が大き過ぎて使わないことが多いですが、ミニスイッチの増設によりさらに出力が上がりました。
以上のモディファイを行った結果、ようやく普通使えるエフェクターへとすることができました。(ただし、この方法はあくまでも勘で改造し、奇跡的に成功したのであまり再現性はないと思います)
【HARD DISTを実際に弾いてみて思うこと】
「HARD DIST」を弾いてみて思うことは、高品質パーツで製作したということもあり、ギターの原音の再生がものすごく綺麗に出力されるなと感じました。今まで何十台もの歪み系エフェクターを試したけれど、歪みの美しさ(透明感)は、手持ちの歪みエフェクターの中では「HARD DIST」が個人的には一番になっています。透明感があり、ギターの原音が美しく聴こえ、さらに綺麗に歪む。理想のディストーションではありますが、トーン調整ができないことや「J C120」で試すという、歪みのピークがファズっぽく潰れてしまう点で、まだ、実用的には使うまではいかないなと思っています。
【自作エフェクター「HARD DIST」を製作してみて思うこと】
自作エフェクターを製作してみると、普段何気に使っているエフェクターの見え方が変わってくるように思います。ハンドメイド系のエフェクターの基盤をみると、今回使用した同じ高品質パーツが使用されていたりします。モディファイでも色々試しましたが、高品質パーツ(コンデンサーやオペアンプなど)で、音は変わります。高品質なパーツにするほど、音が綺麗に澄んでゆく傾向があると感じます。回路図を理解することができれば、もしかしたらオリジナルのディストーションを作れるかもしれないと思いますが、またそれはいつかの夢にしようと思います。
歪みを知るためにも、一度、自作エフェクターを作ってみることはオススメです。音が出た時は、本当に感動します。是非、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。